電気温水器の土台が崩落?

今回のご依頼は昭和53年に設置された電気温水器の交換です。

一般的に電気温水器の寿命は10〜15年程度と言われています。

電気温水器自体はこれまで特に故障したことがないそうですが、お客様のお話では「ときどき排水口周辺が濡れている」との事。

状態を確認すると排水口周辺が濡れていて、数本のクラック(亀裂)が見つかりました。

排水口を観察すると「排水口の周囲をモルタルで覆う」という特殊な二重構造になっています。

これが漏水の原因だと思われました。

お客様に土台改修の可能性についてご説明し、電気温水器の撤去作業を開始しました。

電気温水器を運び出し、土台を掃除している時に事件が起こりました。

突然、土台に10㎝程度の穴が開いてしまったのです。

ハンマーで軽くコンコンと叩くと、まるで卵の殻のように割れて大きな穴が出現しました。

クラックの状態からある程度予想していましたが、ここまでモロいとは思いませんでした。

コンクリートは「圧縮に強く引っ張りには弱い」という特徴があり、その引っ張る力を補強するためにコンクリートの中に鉄筋を埋め込んだものが鉄筋コンクリートです。

しかし、鉄筋は水分と空気に晒される事で錆びて膨張するので何らかの防水処理が必要となります。

いずれにしても、こちらの土台には防水層や配筋の痕跡は見当たりません。

水に弱い構造合板(コンパネ)の上に薄くモルタルを打設した簡素な構造のようです。

上のイラストのように、土台コンクリートの断面はすり鉢状になっていました。

端の厚みこそ50㎜ありますが、崩落部分の厚みはたった15㎜しかありません。

漏水によって支えとなるコンパネが腐食し、引張応力に耐えきれなくなったものと思われます。

土台を支えるコンパネの腐食は広範囲に及んでいて、あっという間に床下が見えてきました。

逃し弁から排出される膨張水が排水口から断続的に漏れ続けていたのでしょう。

広範囲に漏水の痕跡が残っていました。

崩落は時間の問題だったと思われます。

結局、土台から作り直すことになりました。

基礎の木組みを新たに組みなおし、構造合板の上にきっちりと防水シートを敷きつめ、ラス網と鉄筋を配筋し頑丈な土台を施工しました。

新たに設置した三菱電気温水器SRG-375G


マンション全体に同様の施工が行われている可能性があります。

お客様にご説明したところ「管理組合に報告する」とおっしゃっていました。

※後日、弊社が提案した改良型の排水口に数件の申し出がありました。

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